【聖書から】 二千二十三年二月二十六日（日）
「わたしはあなたがたの中で、いわば給仕する者である」
ルカによる福音書二十二章二十七節
本日の聖書箇所の冒頭二十四節に「また、使徒たちの間に、自分たちのうちでだれがいちばん偉いだろうか、という議論も起こった」とあります。
いちばんだれが偉いだろうか？ という議論は、自分以外の誰が偉いのか、という議論ではありません。自分自身が、周りからどれほど偉いと思われているかということを弟子たちは議論をしているのです。この議論は白熱していきます。主イエス・キリストを裏切る者がいる、ということを忘れて議論に熱中します。
私たちの日常も、この使徒たちと同じであるかもしれません。常に自分は誰よりも偉いのだろうかと心の中で競い合っています。そして、主の晩餐が始まった時、イエス・キリストが、私は死ぬのだ、という言葉は、弟子たちの頭からすっかり忘れ去られてしまっているのです。それよりも、自分が周りからどのように思われているかの方が重要だと思ってしまう。しかし、そのような私たちの日常の中に、心の中に、イエス・キリストは十字架を建ててくださいます。
イエス・キリストは、わたしはあなたがたの中で、いわば給仕する者であると、あなたがたのために、自らを低くして、十字架にかかり、体が裂かれ、血を流される。十字架を負って最後まで仕えてくださる主を私たちは見つめているだろうか？ そのことが問われています。何故私たちは、隣人を愛するのだろうか？ イエス・キリストが私たちを愛してくださったからです。私たちは、どうして仕えるのだろうか？ イエス・キリストが私たちに十字架を負ってまで仕えてくださったからです。私たちは、周りの人から、守護者とか恩人と呼ばれたいために、仕えるのではないということです。
そして、二十八節で、「あなたがたは、わたしが種々の試練に遭ったとき、絶えずわたしと一緒に踏みとどまってくれた」とイエス・キリストは言われています。しかし、逆に、一番偉いのはだれかと議論し始める弟子たちは、踏みとどまっていないのでは、と思ってしまいます。ですが、弟子たちは、イエス・キリストと一緒に踏みとどまっているのです。なぜなら、弟子たちに、十字架と復活のイエス・キリストが仕え、そして、支えているからです。使徒たちの中で誰が一番偉いか、という議論に熱中してしまう、しかし、その弟子たちを、イエス・キリストが支え続け、踏みとどまらせてくださっている。イエス・キリストの祈りに支えられて、私たちは、キリストと一緒に、踏みとどまることができます。私たちは、主なる神に仕え、隣人を愛し、主なる神を愛し、隣人に仕えていこうではありませんか。